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第9回|なぜ個人投資家は負けるのか ~投資の罠~

2018.10.05

 

 

株式投資に携わっていると、個人投資家の多くの方からこんな意見をよく聞きます。

「自分で株をやっても儲からない」
「いつも含み損を抱えている」
「高値で掴んでしまって売るに売れない」

投資をしている以上、誰もが「儲けたい」と思っています。これは当然のことです。
ましてや損をしたくて株式市場にのこのこでてくる投資家なんていません。
我々M&Sも投資リターンの最大化を目指し、日々活動しています。

一方、現実はどうでしょうか。

個人投資家の中には、ジェイコム株大量誤発注事件で一躍有名になった「BNF氏」や「cis氏」、バリュー投資を得意とする「かぶ1000氏」など、大きな成功を遂げた方もいます。

ただ、残念ながら個人投資家の多くが損をしているという感覚です。
では、株式投資で成功する人と失敗する人との違い、失敗しやすい人達の共通点は何なのでしょうか。
これらを検証するには様々な観点から考察していく必要があります。当然、銘柄選定やエントリーのタイミングなど個々の運用力に左右されるのは言うまでもありません。

しかし、今回はその運用力ではなく、多くの投資家が人間である以上陥りやすい「投資のワナ」について考察していきます。

 

人は損することが大嫌い

 

繰り返しになりますが、これは当然のことです。
我々M&Sも損することは大嫌いです。

しかし、実はこの感情が投資リターンを下げている可能性があるのです。

以前ブログでもご紹介しましたが、ここには行動経済学が絡んできます。行動経済学とは、「完全に合理的な人間なんていない!損得感情がある以上、非合理的な行動を取ってしまうはずだ!」という主張をモデル化したものでしたよね。

これを前提に先ほどの文章を見返すと、次のように言い換えることができます。

「人は損することが大嫌い」⇒「人は損失を回避することを優先する」

つまり、いったん利益が発生すれば人は小心になってすぐに利益を確定しようとし、損失が発生すれば損失を取り戻すために大胆になってリスクをとろうと行動するということです。

実は、これは行動経済学における「プロスペクト理論」と呼ばれる理論です。

 

プロスペクト理論

 

人間は根源的に何かを「得る」ことよりも「失う」ことを嫌う生き物であり、利益を得られる場面では確実に利益を取り、リスクがあればその全てを回避する傾向があるのです。
例えば、次のような選択肢があった場合、皆さんならどちらを選択しますか。

A:100%の確率で1,000万円貰えるクジ引き
B:50%の確率で2,000万円貰えるが、外れれば何も貰えないクジ引き

どちらを選んだでしょうか。
おそらく、「A」を選んだはずです。

では、もしあなたが仮に1,000万円の借金を抱えていた場合、どちらを選択するでしょうか。

A:100%の確率で200万円返済できるクジ引き
B:20%の確率で1,000万円完済できるが、外れれば何も貰えないクジ引き

この場合、「B」を選んだのではないでしょうか。

どちらの例も、選択肢双方における期待値は全く同じです。
それにもかかわらず、偏った結果がでるのです。

これは、いかにも人間らしい行動パターンです。
今回は期待値が同じ例でしたが、宝くじのようにむしろ期待値が低いほうを選択することもあります。

これらをまとめると次のような効用関数になります。

図のように、人は利益の額が大きくなるにつれて、心理的価値(=満足度)を表す線の角度が緩やかになっていきます。つまり、追加で利益を得た時の満足度の増加よりも、利益を失うことによる満足度の喪失の方が大きくなるため、限界効用が逓減していくのです。

一方、損失の額が大きくなっていった場合は、最初は大きな苦痛を味わうのですが、次第に緩やかになっていきます(=塩漬け)。つまり、追加で損失が発生した時の苦痛よりも損失が減ることによる苦痛の解消の方が大きくなっているのです。

これをプロスペクト理論では「感応度逓減性」といい、利益・損失の大小と心理的な嬉しさ・痛みは比例しないことを示しています。

株式投資で失敗しやすい人にはまさにこの理論が当てはまります。

株式投資の基本は、利益を伸ばして損切りを素早く行う「損小利大」ですが、多くの個人投資家はすぐに利益確定を行い、一方で損切りができずに放置する「利小損大」の投資行動を取ってしまうのです。

 

いかがでしょうか。
自身のトレードを振り返っていただくと当てはまる方が多いと思います。
実際、証券会社に勤務していた頃にそういった投資家をたくさんみてきました。

長年の評価損に慣れきってしまい塩漬け状態、他に上昇が期待できる銘柄があっても(新資金での購入は別ですが)銘柄入替のために損失を確定することを恐れている。まさに機会損失です。

一方、株式投資でリターンを出している方は、感情的なインパクトに大きく左右されず、冷静な思考と長期的な視点を持ち、ロジカルに損得を考えられる人が多い傾向があると言えます。


我々、M&Sの運用チームも人である限り、損失を恐れることもありますが、そこはチームの利点を活かして、定期的にスクリーニング会議等を開催し、客観的な目を適宜介入させることによって、本質的な期待値を見抜くようにしております。

客観的な視点をもって、今一度ご自身のポートフォリオの正当性を再考してみてはいかがでしょうか。

 

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