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第12回|M&Sの投資先企業紹介
日本アンテナ株式会社(弊社大量保有報告書提出先)

 

 

こんにちは。
最近急に寒くなったせいか、風邪が流行っていますね。
皆さまご体調にはくれぐれもお気を付けください。

 

現在我々が大量保有報告書を提出している企業は6社になります。また、大量保有報告書を提出している先以外の上場企業にもいくつか投資しており、有価証券報告書や四季報にM&Sが大株主として記載されているものもあります。https://ms-llc.net/stock/

直近では、第5回目のブログにて横浜丸魚株式会社をご紹介させていただきました。

今回は、日本アンテナ株式会社(以下「日本アンテナ」といいます。)について、なぜこの企業に投資をしたのか、この企業が改善すべき点はどこなのかに触れながら説明していきたいと思います。

 

会社概要

 

会社概要を簡単に説明しますと、日本アンテナは1953年に創業し、長年にわたって自動車用、テレビ用、通信用アンテナと周辺関連機器を製造・販売してきた企業です。

2011年には自動車用アンテナ事業を原田工業に譲渡し、現在はテレビ用アンテナ、通信用アンテナ、周辺関連機器事業と電気通信工事に経営資源を集中させています。
(原田工業は今年、東証一部に指定替えされて注目を浴びた企業です。)

特にテレビ用アンテナ市場は、テレビの出荷台数や新築住宅着工件数との関連性が強い市場になります。2011年7月の地上デジタル放送完全移行や、2014年4月の消費税増税前の住宅駆け込み需要などに伴い、関連機器や設備工事の需要が拡大し、同市場のプレイヤーの業績にも影響を与えました。

日本アンテナの業績をみても、2012年に地上デジタルテレビ放送への移行が完了した後は厳しい状況にあり、売上高は漸減傾向となっています。
一方、最近では既存住宅向け4K・8Kアンテナ対応工事需要が増加しており、営業益は回復傾向に向かうと考えております。

会社規模としては、時価総額:約104億円、売上高:144億円に対して、純利益:2億円となっており、現在有利子負債なし(リース債務26百万円除く)の無借金経営かつ自己資本比率:83.0%と、安全性は十分であることが確認できます。
また、資本金:4,673(百万円)、利益剰余金:9,457(百万円)となっております。

 

過大な内部留保

各種指標をもう少し具体的に見てみましょう。

まずここで注目してほしいのは、現預金と投資有価証券の総額です。無借金経営でありながら時価総額に対して過大な資産を保有していることが分かります。これら過大な資産によって、PBRは0.44倍と非常に低水準となっております。
利益に関しても特段悪いわけではなく、少しずつ持ち直しているので、ますます内部留保が溜まっていく可能性があります。

この無借金経営且つ時価総額を超える現預金を保有している状況は、特別利益の発生等による一時的なバランスであれば特に問題ないのですが、日本アンテナの場合少なくとも約10年間続いており、保有資産の有効活用ができていないと言わざるを得ない状況です。

これだけの資産を持ちながらPBRは常に0.5倍前後が続いており、企業価値向上に向けた積極的な施策が行われているとは想定しづらいです。

 

株価推移(直近5年チャート)

必要性を疑う契約

日本アンテナは数年前から、設定額15億円のコミットメントライン契約を取引銀行2行と締結しています。おそらく取引銀行である、りそな銀行とみずほ銀行でしょう。

コミットメントライン契約とは、金融機関が顧客に対して、一定期間にわたり一定の融資枠を設定・維持することを予め合意し、融資枠内であれば顧客の要請に基づき融資を実行することを確約する契約のことです。

一方、 金融機関は契約の見返りとして一定の手数料(コミットメント・フィー)を徴収します。

日本アンテナの場合、有価証券報告書を拝見すると営業外費用にイニシャルとしてコミットメントフィー37百万円が計上されています。契約した理由としては、アンテナ業界の縮小懸念による事業再編等が起こった場合の資金需要に備えたということですが、この財務状況を考慮すると果たして本当に必要なのでしょうか。

有利子負債もなく長年現預金100億円以上を保有して、それでもなお追加で15億円の融資枠を確保する必要があったとは到底考えにくいとみております。

 

株主構成

株主数は2018年3月末時点で2,166名、外国人株式保有比率は10%未満となっております。
昨年までは、創業家一族の瀧澤さよ様が筆頭株主であり、22.19%を保有されていました。しかし、2017年11月に逝去されたことにより、その持ち分が瀧澤家及びその親族様に市場外で相続されたため、株主構成が大きく変化しました。

大株主の状況

(参照:2018年11月公表のコーポレートガバナンスに関する報告書)

過去の類似事例

もともとアンテナ市場はいずれの用途別市場(テレビ用や自動車用)においても専業プレイヤーの寡占度が高く、競合他社は限られています。
日本アンテナが得意とするテレビ用アンテナ市場においては、マスプロ電工を筆頭に日立国際八木ソリューションズやDXアンテナなどが有力だといえるでしょう。

その中で、現在の日本アンテナの財務状況と似ていた企業があります。
それがマスプロ電工です

ご存知の方もいるかと思いますが、マスプロ電工は2011年に創業者一族の端山佳誠社長が筆頭株主である自身の資産管理会社を通じてMBOを実施し、上場廃止となりました。

当時のマスプロ電工の各種指標は次の通りです。
MBO発表直前の3カ月平均株価である650円をもとに株式時価総額を計算すると、時価総額は約132億円。一方、純資産は413億円(9月末)に及ぶため、PBR0・3倍程度でした。加えて、無借金経営だったため、いかに株価が低迷していたかがご理解いただけると思います。

当時MBOをした理由について、以下の通り述べています。

今後も上場を維持することによるメリット、デメリットを勘案しつつ当社の株主の皆様にマイナスのリスクが及ぶことを回避し、短期的な業績に左右されることなく当社が中長期的に成長し、持続的な企業価値向上を実現するためには、マネジメント・バイアウト(MBO)の手法により、はしやまが当社普通株式の全てを取得して非上場化し、短期的な業績変動に左右されずに機動的かつ柔軟な意思決定を可能とする経営体制を構築した上で、当社の経営陣および従業員が一丸となって当社の事業構造の抜本的な改革および取組みの強化を積極的に行うことが最善の手段である。」

株価推移(5年チャート)

その結果、当社が将来生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて企業価値や株式価値を分析し、普通株式1株当たりの株式価値の範囲を 986 円から 1,137 円までとみて、最終的に本公開買付価格を 1,070円に決定いたしました。

これは、当社普通株式の終値 655 円に対して 63.4%、同過去6ヶ月間の終値の単純平均値 726 円に対して 47.4%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。

MBOの決断の背景には、地上デジタルテレビ放送への移行による地デジ特需後の業績低迷懸念がありました。もともとテレビの受像関連機器に特化していたため、特需がなくなればその分業績が落ちるという構造ですね。

今後も株価下落が予想され、敵対的買収をされる懸念があったため、MBOに踏み切った形です。非上場後は、自由度の高い経営とこれまで培ってきた電波技術を活かし、テレビ以外の新事業の育成に力を入れていくとのことでした。

 

日本アンテナの今後

 

今回ご紹介した日本アンテナは、十分な経営資源を蓄えており、その活用方法次第では企業価値を飛躍的に向上できると考えております。

また、ウェブサイト上で公開されている「Invisible × Connected」に見受けられるように、映像と無線、放送と通信の融合による市場拡大、IoT社会における新たな電波利用ニーズの拡大を機に、積極的な経営を期待します。一方、現状は株主資本の有効活用ができているとは言えません。

上場企業として存続する以上、企業価値の向上は株主との共有目標となります。上場企業としての責務を今一度認識し、株主と一丸となって企業価値向上に向け成長していけるよう、我々M&Sは日本アンテナの一株主として、対話を継続して実行していきます。

 

※M&Sの他の投資先企業についてはこちらをご覧ください。
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