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第11回|変わる株主総会

 

 

今年の夏は例年にも増して猛暑が続きましたが、めっきり涼しくなってきましたね。
やはり秋は過ごしやすくて良い季節です。

さて、これまでのブログを振り返ると、少しお堅い内容ばかりでした。
読者の方にとっても抽象的な話ばかりが続いては面白くないので、たまにはゆるく書いていこうと思います。

 

突然ですが、「株主総会」に出席されたことはあるでしょうか。
株式投資をされている方は多くても、実際に株主総会に出席する方は少ない印象があります。

その理由として、株主総会が平日で且つ集中的に開催される傾向があることが挙げられるでしょう。当然サラリーマンにとっては、議決権行使することはできても、株主総会に出席することは現実的に厳しいですね。

我々M&Sは当然ながら投資先企業の株主総会に出席するのですが、ここ数年で(特に大企業を中心に)株主総会の在り方が大きく変化していると感じています。

 

変化1 株主構成

株主構成はここ数十年で大きく様変わりしました。
昔は、事業会社と大手銀行を中心とした金融機関との強固な持合い関係の構築が重要視されていましたが、現在はいわゆる機関投資家、特に海外機関投資家の保有比率が上昇しています。

1980年代に株高を演出した企業は、取引先や金融機関との株式持ち合いを相次いで解消し、1990年から2017年3月末までの売却額は137兆円に達しました。
その受け皿となったのが、同じ期間に持ち合い株の解消にほぼ見合う150兆円強を買い増しした海外機関投資家でした。

彼らはこれまでの安定株主とは違い、一株主としての「意見」を明確に表明します。
議決権行使助言会社である「ISS」や「グランルイス」の助言に基づき、各議案に対して真に企業価値向上となるのか否かを判断します。

これに加えて、CGコード改訂による政策保有株式に対する強い逆風もあり、安定株主は減少を続けています。
平成が終わろうとしている今、株主構成の根本的な変化が進んでいるのです。

 

変化2 株主総会における企業側の目標

昔は、各議案に対する「決議結果」は公表されていましたが、その具体的数値、つまり「賛成率」までは公表されませんでした。
今は違います。

各議案に対する賛成率に加えて、経営者や取締役陣も数値で評価されます。
社外取締役に対しても、取締役会の参加率や独立性など多くの観点から評価されます。

これらは株主から経営陣に対する信認の大きさを示す、いわば通知表ともいえるものであり、ただ単純に可決を取れれば良いという時代ではないことを表しています。

 

変化3 アクティビストとの関係

アクティビストは「もの言う株主」と表現され、会社側はこれらを敵対的株主として認知していました。(そもそも資本供給をしている投資先企業に、何も意見を持たないことの方がおかしいと思いますが…)

おそらく、議事進行を妨害し会社側から多額の利益供与を受けていた旧来の「総会屋」と同じ括りにしていたのでしょう。
しかし、アクティビストは変わり、上場企業としての企業価値向上に向けた経営改善策や合理的な提案を行う存在として認知されるようになりました。

これに伴い、議決権行使助言会社からの支持も得はじめ、もはやアクティビストは取締役陣にとって無視できない株主となっています。

日本では未だ海外と比較してその認知度は低いですが、米国のような金融先進国ではアクティビストへの対応として「対話」が重視されています。
むしろ、機関投資家の行動規範を示すスチュワードシップコードの浸透により、「物をいわない」ことのほうが投資家の行動として問題視されるのです。

 

外的環境の変化に伴い、株主総会の中身自体も変化

 

これまでの株主総会は、まさしく「シャンシャン総会」。
つまり、予定通りに短時間で質疑応答もなく終わる株主総会でした。そこには、会社の最高意思決定機関としてすべき建設的な議論など存在しません。円滑に終わらせることを目的に、多くのエネルギーを費やしてきました。

しかし、株主構成が大きく変わった今、個人投資家を中心に質疑応答をする場面が増えました。株主総会の目的が「会議」から「質疑」へと意識が変わり始めているのです。
これらをまとめると、上図の通りとなります。
ただし、これらはすべての上場企業に当てはまる変化ではありません。

未だに安定株主作りに必死で、買収防衛策の導入に労力を費やし、役員の椅子に固執する経営陣も多くいます。
コーポレートガバナンス・コードの改訂内容さえ理解していない方もいるのです。

上場企業の役員としてこのような行動を取ることに関して、どのように考えているのでしょうか。

おそらく外国人投資家も少なく、変化の必要性を感じていないのでしょう。
しかし、このままでは株主総会による監視機能が形骸化して損なわれます。

また、実質上「物言わぬ株主」の比率が高まることで、企業統治の維持・改善が損なわれる恐れもあります。(既に損なわれているといっても過言ではないです。)

果たして、上場企業として未だこのように古い体質のままで良いのでしょうか。

はっきり申し上げると、長年資本効率が悪く業績も横ばい、資金調達の必要もない、余剰資金も有効活用せず企業価値向上に意欲のない企業は、上場をやめるべきです。

我々M&Sは決して企業の価値を、「上場>非上場」と捉えているわけではありません。
非上場であれば、我々のような株主の意見に左右されない経営ができますし、買収の危険性もありません。経営の自由度がかなり高くなります。

しかし、上場している限りはガバナンスの強化、体質の変革といった社会のベクトルは必ず働きうることを理解すべきです。

上場を維持する理由を、「うちには歴史があるから」「社会的使命を担っているから」という言い訳がましいものだけでは通じない時代が来るはずです。
そのような企業には、上場している意味をもう一度考え直していただきたいと願うばかりです。

 

 

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